運動学習理論とは?

 ライバルとの差をつける野球塾B.A.G(Baseball Academy G)では運動学習理論に基づく指導を行なっています。運動学習理論に基づく指導の方法を私は「ML-method」と呼ぶことにします。ML-methodには様々なものがありますが、今日はその中の一つである探索学習を促す指導についてご紹介します。

 

 

<探索学習を促す指導とは?>

 探索学習とは、選手自身が自分の身体や環境に合った最適な動きを探し出すことです。探索学習を促す指導は、例えば、守備練習の際に、コーチが「捕ったらとにかく早く投げてみよう」と促します。この時、どのようにしたら捕ったら早く投げることができるのかについての直接的な答えとなる指示をするのではなく、選手自身がチャレンジしながら試行錯誤の中で選手自身が答えを探すことができるように待つ指導の方法です。

 

<探索学習のメリット①>

 探索学習は、選手自身が自分の身体や環境に合った最適な動きを見つけるために時間がかかります。しかし、選手自身が試行錯誤の中で得た答えは決して忘れません。監督やコーチが指示をすれば一時的にはすぐに出来るようになりますが、元に戻ってしまうことが多々あります。全く指示をしないわけではありませんが、選手自身が答えを探す時間を持てるように心がけています。

 また、課題の制約と言って、直接的な指示ではなく、ある課題を与えてその課題をこなす中で目的とする動きを見つける手助けをします。例えば、バッティングの際、「ボールの内側を打ってみてみよう」と促します。この課題の目的はバットをインサイドアウトで出せるようにすることですが、バットをインサイドアウトで出さないとこの課題はクリアできません。バットをインサイドアウトで出しなさいと言うのではなく、課題を与えることで引き出すのです。

 

<探索学習のメリット②>

 さらに探索学習は、選手の運動技能の向上だけでなく、選手の主体性やモチベーションを高めます。人は誰でもいちいち指示をされれば嫌気がさします。指示通りにばかりやる練習は主体性が失われ、やらされる練習に変質し、モチベーションが低下します。選手の主体性を育むためにも効果的な方法が探索学習です。

 

<まとめ>

  • ライバルとの差をつける野球塾B.A.Gでは、運動学習科学に基づく指導を行っており、その一つが探索学習である。
  • 探索学習とは、選手自身が自分の身体や環境に合った最適な動きを選手自身が試行錯誤の中で探し出すことである。
  • 探索学習のメリットは、選手の運動技能の向上だけでなく、選手の主体性やモチベーションの高まりである。
  • 探索学習を促す指導は、直接的な指示ではなく、課題の制約をかけることで行う。

 

 P.S.

「運動学習科学」とは、スポーツ心理学やバイオメカニクスを背景に、運動技能の制御や学習・指導を研究する学問領域です。平易に言えば、運動技能(スキルともいいます)やスポーツ技能が上手くなるにはどうすれば良いかを考えながら、ヒトにとっての身体運動の意味を考えていくことです。(by. 元名古屋大学・山本教授)