野球の進路について

最近野球の「進路」についてのご相談をよく受けます。
特に、小学生から中学生へ上がる際に、頭を悩まされているように感じます。

 

 

「ボーイズやシニア・ヤングやポニーなどの硬式に進むべきか?」

「それとも軟式でクラブチームに行くのか?あるいは部活動(部活)を選ぶべきか?」

「友達が行くチームがいいのか?」

「チームのうわさや評判を頼りに決めるべきか?」

「強いチームに入るべきなのか?」

 

 

結論から先に申し上げます。

野球の「進路」は、選手自身が<強い意志>を持って決めるべきだと私は思います。

 

後悔につながりやすい進路選択の共通のパターンとしては、<自分の意志以外>の要素を決め手にしてしまうことです。

以下、具体例をいくつか挙げてみます。

 

・「友達と一緒」だから

仲の良い友達やチームメイトが同じチームに行くから、という理由で決める選手が時々います。

もちろん、どのような仲間と共にやるかは大事ですし、知っている仲間がいること自体は最初は心強いです。

しかし、野球を続ける目的や個人が求めるレベルは、当然一人ひとり違います。

 

もし友達が途中で辞めてしまったらどうしますか?自分も一緒に辞めますか?

また、その友達とレギュラー争いをすることになったらどうしますか?仲違いするのを避けて自分が一歩引きますか?

 

「誰とやるか」も大事ですが、選手自身が「何を目指すのか」を明確にし、優先しなければ方向を見失う可能性が高くなり、結果的に進路選択で失敗したと後悔しやすくなります。

 

・「先輩やチーム関係者」に誘われたから

尊敬する先輩や顔見知りのチームの関係者・指導者の方から「うちに来なよ」と誘われると、正直、断りにくいと思います。

その気持ちはよくわかりますが、その誘いはあくまで「その方々のチーム事情」や「善意」であって、その選手にとってのベストなチームであるのかは別問題です。
義理人情で決めてしまうと、入った後に「本当にここでよかったのかな?」という疑問が残りやすくもなります。

 

・とにかく強いチームだから

「実績のある強いチームに入れば間違いない」と考える保護者様もたまにいらっしゃいますが、チームを決める理由としてはおススメできません。

チームが強くても、そこでその選手が試合に出られるのか?求めている指導を受けられるのか?を考慮する必要があると思います。厳しい指導や練習に耐えられるのか?レギュラーを取れなくても諦めずに最後までやり遂げられるのか?その選手の意志がやはり大事です。

 

 

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さて、中学生の3年間は、体も心も大きく成長し、技術も飛躍的に伸びる大切な時期です。同時に、壁にぶつかることも増える時期でもあります。

レギュラーになれない時、厳しい練習に心が折れそうになる時、思春期特有の人間関係に悩む時…

そんな時に、「誰かに言われて選んだ道」だと、「選んだ人のせい」にしてしまい、頑張り続けるモチベーションを保つのが難しくなります。

一方で、「自分で決めた道」であれば、「自分で選んだのだから、自分が乗り越えるしかない!」という責任感も生じ、選手自身が困難を乗り越える一つの原動力となると考えます。

 

保護者様のご役割としては、選択肢を絞ってあげることではなく、「自分の意志で選択できる」ようにサポートしてあげることです。

「自分の意志で選択できる」ようなサポートとしては大きくは2つあります。

 

1つ目は、たっぷりと「情報提供」をすることです。

硬式、軟式、部活、クラブチームなど、それぞれのメリット・デメリット、通うのにかかる時間、練習時間など、生の情報を集めて提供することです。

また、百聞は一見に如かず、見学や体験に積極的に連れて行くことも大切です。

 

2つ目は「対話」を重ねて本音を引き出すことです。

「なぜ野球を続けたいの?」

「野球を続けていくなら中学校での自分の目標は?」

「どういう環境ならその目標を達成できると思う?」

選手の考えや本音を引き出す質問を投げかけ、その答えを否定せずにじっくり聞いてあげることです。

話す中で自分の考えが整理されることもあります。

また、その中で具体的なチーム名が出てくることがあると思います。

そのようにして結論が出るまで「対話」を重ねることが重要です。

 

最後に、これは非常に難しい部分ですが、「決断」を尊重することです。

最終的な決断は、選手にさせてあげてください。

もし、保護者様の視点から「この選択は心配だ」と感じるようなことがあったとしても、です。

正直、中学の進路選択によって野球の道が全て決まるわけではありません。
中学で硬式をやれば先を行けるわけでもなく、軟式をやれば遅れをとるわけでもありません。

大切なことは 「あなたが決めたのなら、全力で応援するよ!」と伝えながら、その決断に対して最後まで責任をもって取り組む覚悟を持つことを強調してあげてください。

これが後の人生で非常に役に立つ部分だと私は考えます。

 

 

この話は中学のみならず高校やその先の進路・大学や会社でも全て同じです。

「自分が決断をし、その決断に責任を持って生きる」

このような経験が野球のみならず社会で活きてくることは火を見るよりも明らかであることは皆様ご賛同いただけるかと思います。

 

長くなりましたが、野球の「進路」は、選手自身が<強い意志>を持って決めるべきだと私は思います。

そうして自分の強い意志で様々な困難に打ち勝ち、成功を勝ち取っていく選手たちになることを心から願っております。